アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~
- 作者: Mike Cohn,マイクコーン,安井力,角谷信太郎
- 出版社/メーカー: 毎日コミュニケーションズ
- 発売日: 2009/01/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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発売日に買って読み始めていたものの、他の事に没頭しすぎて止まってた。ようやく読了。
良いなと思える見積もりの手法を、やろうと思わせてくれる良い本だった。
良い本だった。と書いた直後でなんなんだけど、最初の『日本の読者に向けて』で、いきなり理解できない事が書かれていて投げ捨てそうだった。
「アジャイルだから計画しません」
「出来たときが終わるときです」
私がこの本を書き始めた当時は、こんな言い逃れをよく見かけた。
私は凄く狭い世界でしか仕事をしていないので、他の現場の事はまったく知らないワッパだけど、こんな言い逃れ本当にあるの? こんなん予算がまったく見積もれないやん。予算見積もれないでどうやってお金もらってるの? 世の中、「終わるとき」までお金出してもらえるぐらいバブリーなの? 「アジャイルだから計画しません」なんて事実からかけ離れてる、という問題以前に、お金を貰う仕事としてありえないと思うんだけど、「アジャイルだから」っていうとそれでもお金もらえるの? アジャイルって凄いや!(笑)
‥‥と、ネタ皮肉が脳内を突っ走ったんですが、実際のところどうなんよ。
「これは無いわー」と思ったのはこの冒頭だけで、「見積もりと計画づくり」の部分については非常にためになりました。
しかし、うちの職場、意外とアジャイルな見積もりに自然となってた部分もあるんだなーとか、ちょっとだけ感心した。極力、全員で見積もりだすし、フィーチャを主眼において見積もり&実装するし、それなりに短い単位に分けて見積もるようにしてるし、スケジュールの見直しもそこそこの期間でやってるし。
それでも、デスマになるけどねorz
以下、個人的に考え直そうと思ったものをふりかえるためのメモ。
仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する(P.37)
ならないように気をつけてはいる。しかし、なるw
バッファの作り方(P.206辺り)と併せて読みたい。
ストーリーポイント(P.61)
いつも、理想日で見積もって、それに1日の実作業時間を考慮しつつ、期間の見積もりにしてた。この本に書かれていた、ストーリーポイントでの見積もり&1イテレーションこなしてみるという発想はなかった。
1イテレーション目は今までどおりで良くて、1イテレーション目からストーリーポイント主導にすればいいんか? 今のやり方でも、中盤以降の見積もりは、すでに終わってる作業に期間を見て決めてる事が多いから、前の作業にかかった期間を今以上に意識して決めるだけでも同じ効果が得られるのかもしれん。
ストーリーをタスクに分解してはならない(P.143)
あー‥‥これはやってしまうわ‥‥。タスクで分解すると作業時間が考えやすくてなぁ‥‥。うーん、曳光弾で分けられるように意識してみる。
ストーリーを選択し、リリース日を決める(P.156)
これはできているはず! だけど、リリース日前にいつの間にか実装するフィーチャの数が増えてることが多い! 不思議! 結局、日付主導だ! みたいな!
ミーティングはタスクに含める(それも多めに)(P.168)
「多めに」重要。超重要。ミーティングの準備にかかる時間を含めるようにするのは当然だけど、個人的には、ミーティング後に細かい作業が発生したりすることが多くて、それが積み重なってじわじわダメージが溜まってくる事が多い気がする。
あと、突発的な小さいミーティング(のつもりで呼ばれるがそれなりに時間をくわれる)もじわじわ来るんだよなー。あれはどうするべきなんだろう。やらないようにするとか、ミーティングの時間を短くするようにしないといけないんだろうな。
1日の作業時間を見積もる(P.196)
たぶん、私はこの見積もりが非常に甘い。これ、その時の役割によって結構変わるんだよな。外注先とのやりとりをやらないといけなかったり、開発ツールのサポートしないといけなかったり、メール対応しないといけない相手が多かったり。
その時々の、1日の作業時間の実績値を意識して集めとかないとダメだ。このまま振り回されてたら、二の舞、三の舞になるだけ。
50%見積もり90%見積もり(P.206)
意識してやってみる。あんまり意識したこと無かったけど、今までは感覚的にリリース日に余裕がある間は 70% ぐらいで見積もってて、余裕がなくなってくると 30% ぐらいで見積もってたのかも。
なぜアジャイルな計画づくりがうまくいくのか(P.255)
こういう一覧性の高くて、あとで読み返しやすい箇所をつくってくれるのは非常にありがたい。そういや、プラクティスとかレトロスペクティブにも読み返しやすいページあったな。ふりかえりやすさ重要。ふりかえりやすくするのもアジャイル?
重要なのは技術とビジネスの調和です(訳者あとがき)
重要なのは技術とビジネスの調和です。重要なのは技術とビジネスの調和です。とても重要だと思ったので二回言いました。「アジャイルの衰退と凋落」はあとで読む。